水原紫苑歌集『如何なる花束にも無き花を』
今月も好きな歌集がいろいろと、その中から一冊。八月十五日が発行日の歌集を
紫水晶を思わせる硬質の叙情。カバーを見つめていると天使の翼が!
水原紫苑歌集
『如何なる花束にも無き花を』
軍服の父を知らざる幸ひをブローチとして心臓に刺す
心臓に刺すが、意志を感じさせる
玄牝やひかりの繭となりゆかむをみな超えたるこのうつそみは
ひかりの繭が好き
玄牝は「老子」道徳教第六章、にある言葉、大河の源にある谷神は尽きることなく、生命を生み出す、女性もまた、生命を生み出す。
若草の妹を焼きたる夕映かロゼシャンパンは天にこぼるる
夕映のは古代と現代を繋ぐ架け橋
風の骨あらはに見ゆるきさらぎを過ぎゆけるひとみな扇かも
釈超空、山中智恵子の扇がかさなる
雀らが野分の前に来たりける智恵を怖れて聴くモーツァルト
モーツァルトの音楽はそんな感じです。
※おことわり
水原紫苑さんは正字を使われているのですが、反映されておりません